山さんの 快適トレッキングのすすめ  基礎知識編 3-1


1 簡単な地図の見方とコンパスの使い方
2 登山道の地形の名称
3 コース標示の知識

【1 簡単な地図の見方とコンパスの使い方】
山歩きでは地形図とコンパスは必需品で、つねにセットで活用し、現在地を確認したり、現在地から目的地の方向を調べるなどと活用法が広がります。さらに山頂から見える山の名前を調べるときにも役立ちます。もし道を見失った時は、危機から脱出するための心強い用具になります。地図とコンパスを活用するにはある程度の慣れが必要になってきますので、山歩きの時はいつも携帯して時々道をチェックするなど使用して慣れて行きましょう。

・磁北と真北の違いを知る
 
北には地図上の上をさす「真北」(しんぼく)とコンパスの磁針がさす「磁北」があります。真北と磁北はズレが生じています、このズレを磁針偏差、または偏角といいます。日本では磁針偏差は地域によって西におよそ6〜9度のズレがあり北に行く程ズレが大きくなります。日本では西にズレることからズレの角度を特に西偏といい、地形図上にはその地域の西偏のズレの角度が明記されています。(ちなみに磁北はカナダのハドソン湾の北にあります)
地形図ではそのズレをコンパスで修正して正しい方角を導き出します。

・地形図に磁北線を書き入れる。
 
 

・コンパスを使って目的地の方向を知る。
 
 

・地形の特徴点をもとにコンパスで現在地を確認。
 
 


【2 登山道の地形の名称、コース標示の知識】
山は複雑な地形をしておりいろいろな名称が付けられています。地図やコース図など理解度を高めるためと基礎的なクリアーの知識です。

・木道
 
湿原やぬかるみ、沢筋などに木道が設置されていますので、木道を外れないよう歩きましょう、朝露や雨で濡れている時はすべりやすいので注意が必要です。

・木段
 
コースの中の急坂や段差のある地点などに設けられている木組みの階段のこと。登るコツは小幅で登り、時々左右の足を入れ替えて歩くと負担が減ります。

・ガレ場
 
岩屑がガラガラと積み重なった所。浮き石に注意をして岩のマーキングに沿って歩く事が大切。

・ザレ
 
ザレはガレ場より岩屑が細かく、小石や砂を敷いたような場所。堆積が厚くなるとザクとも呼びます。ザレは火山の火口周辺をはじめ、花崗岩などの岩盤が露出した山に多く白っぽいのが白ザレ、赤っぽいのが赤ザレともいいます。ザレを通過する時は砂に足をとられないように、広範囲のザレ場では視界不良時にコースを見失いように踏み跡をよく確認する事が大切。

・ヤセ尾根
 
両側が急な斜面で、幅のせまい尾根をヤセ尾根といいます。ヤセ尾根では足元に充分注意をして歩くと共に、登山者同志が交差出来ない道幅での場所では前方からくる登山者がいないかどうか確認をしてから進みましょう。

・徒渉(としょう)
 
沢に橋がなく、飛び石つたいや水流に踏み込んで渡ること。沢の水は思った以上に力が強く、水流に踏み込んで徒渉できるのは靴に水がかかる程度、足首以上の深さになると危険です。特に雨天後など沢が増水しているときは充分な注意が必要です。

・雪渓
 
これは冬の残雪で、沢や谷に夏まで消えずに残る雪をいいます。このうち谷を埋めるものを雪渓、稜線や斜面の窪地の残雪を雪田と区別して呼こともあります。大規模な雪渓のあるコースは3000mの夏山の経験をよくしてからチャレンジしましょう。雪渓を歩く際はアイゼンを使用して登ります。その際はクレパス、落石、滑落など充分な注意が必要です。

・岩場
 
高山には大きな岩場が多数ありますが、山歩きにしっかり慣れるまでは大きな岩や、連続してある岩場はさけるように、しかし一般的なコースでも小規模の岩場を含むことがあります、あわてないために下記の要項を守り実践してください。
岩場では落ち着いて、慎重に行動し、手がかり、足場になる岩の突起や割れ目を良く見極める。岩にとりついたら手足の4点がいずれも岩をとらえた状態から、いずれか1点だけを次の手がかりか足がかりへ動かす。2点同時には動かさない。移動するときは、常に3点がとらえている状態になる。これが3点確保といい、岩登りの基本技術になります。移動の際は小刻みに行う、体を岩から離しまわりが良く見渡せるようにして3点確保で進む。

・クサリ場はしご
 
一般コースの登山道の岩場などにはクサリなどの補助物が設置されている事が多く、そのようにクサリのかかった岩場をクサリ場といいます。その他にロープ、鉄杭、はしごなど登攀のきびしい所はそのような補助物が設置されています。このような場所も岩場の登りと同じ3点確保で慎重に進みましょう、その際前方からの侵入者がないかどうか、確認をしてから行動に移しましょう。

【3 コース標示のいろいろ】
コース標示は登山道の入口から山頂までの間にいろいろな方法で標示されていますので見落とさないように、よく見ながら進みましょう。

・指道標
 
いわゆる道標で、形状はさまざまですが、行く先、距離、所要時間などが記されています。整備された登山道では安心度が高まります、しかし古くなって傾いていたり、落ちていたり、文字が読みにくかったりしている場合もありますので、指道標があっても分岐などでは地図を開いて確認することが基本です。

・赤布、赤テープ
 
マーキングの一種で、樹木の枝などに結んだり、赤いテープを巻いたりしてコースの目印とするもの。道標にくらべると簡易的で、一時的に設置されたものが多く、不安を感じたら、やはり地図を開いて、確認をしましょう。

・マーキング
 
岩場やガレ場では岩にペンキで印しを付け、コースを標示している事が多い。印は丸や二重丸、矢印などがあり、迷いやすい場所では、バツ印がついているのでそちらへの進入は避けて下さい。

・ケルン
 
登山コースには石を積み上げた塔のようなものがあるが、それは道しるべ等に利用するケルンです。濃霧などで視界が悪い時など道を見失いやすい時の道標の一種です。



ゴゼンタチバナ

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